大鵬さんとの思い出

「巨人・大鵬・卵焼き」といえば、戦後の流行語にもなりましたが、当時の日本人なら誰もが好きだったものの代名詞です。御多分に洩れず、室蘭の実家で一緒に暮らしていた祖母も、大鵬さんの大ファンでした。大鵬さんは北海道出身で、偶然にも私と同じ年。ご縁あって雑誌の取材のため、相撲部屋を訪れたことがありました。人気の代名詞ですから、一体どんな方なのかと、興味津々でした。何より祖母に大鵬さんの話がしたかったので、お会いするのが楽しみでした。

実際、大鵬さんはものすごく体が大きくて圧倒されましたが、横柄なところは少しもなく、素朴で優しい雰囲気の方でした。雑誌の取材でしたから、たくさんの写真が撮影されましたが、中にはお姫様抱っこの写真もありました。今でも、軽々と持ち上げられたことを思い出します。それから相撲部屋では、ちゃんこ鍋をご馳走になりました。人生初のちゃんこ鍋でしたが、見たこともないくらい大きな鍋が出てきて、びっくりしたのを覚えています。部屋中のお相撲さん達が食べられるように、大きい鍋で贅沢に作られていたのですね。皆さんと一緒に、とても美味しくいただきました。ちなみに相撲部屋には沢山の力士が所属していて、とても賑やかでした。部屋の雰囲気がとてもよく、和やかで楽しく、とても印象に残る取材でした。

一期一会ではありませんが、私にとっては貴重な出会いで、大変光栄なことでした。活躍する世界は違いましたが、同郷で、しかも同じ年齢の方が相撲界を牽引しているというだけでも、大変心強いことでした。何より大鵬さんから、たくさんの勇気をいただき、私自身もより一層、頑張ろうという気持ちにさせられたのを覚えています。そうそう、取材の後から大相撲の取組がますます気になるようになりました。今でも大相撲のシーズンになると、必ずテレビで観戦しています。日本人力士がもっともっと強くなってほしいな、と思いながら観ています。それから、大鵬さんのお孫さんの王鵬さん。この一月場所から十両に昇進しましたよね!ますます応援に熱が入っているところです。大鵬さんのような人気の代名詞になれるように、頑張ってほしいと願っています。

次回はまた、日活のエピソードに戻ります。

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