1963年の後半に日活を離れてフリーになりましたが、予め松竹映画とは年間4本の出演契約を交わしていました。自宅で保管している台本や松竹のデータベースなどを辿って出演本数を確認しましたが、はっきりしている分としては1967年までに15本の作品に出演しておりました。日活時代から比べると遥かに少ない本数ですが、並行して連続もののテレビドラマにも出演しておりましたので、引き続き忙しくしていた覚えがあります。それにしても半世紀以上も前の事なので、記憶も朧げなところです。
ところで、松竹映画については1963年に公開された「結婚の条件」の他に「見上げてごらん夜の星を」という作品もありました。坂本九さんの主演で主題歌も大ヒットした、番匠義彰監督の作品です。九ちゃんとは日活映画「竜巻小僧」(1960)でもご一緒した事がありました。ちなみに元々日活映画のファンだったそうで、私にファンレターをたくさん書いてくださったとのこと。当時は忙しくて、まさか九ちゃんからいただいていたとは知りませんでしたが、「ちっとも返事が来なかった」と本人から照れながら抗議されたのが懐かしい思い出です。なんでも目の大きい人が好みだったとか⁈
そういえば番匠監督といえば、もう一つ1964年に公開された「太陽を抱く女」という作品にも出演しました。この作品では菅原文太さんと夫婦役で共演しました。文太さんは東映映画で頭角を現す前でしたので、モデル出身のイメージが強かった頃です。後からわかったことですが、中原淳一先生のモデルもされていたとのこと。現場では他愛のない話をたくさんしましたが、今思えばモデル時代の話もしてみたかったですね。きっと共通の話題もあったのでないでしょうか。文太さんといえばトラック野郎や任侠映画のイメージがありますが、実際は荒々しいところは全くなくて、本当に素朴でとても優しい方でした。
番匠監督については最近『番匠義彰映画大全』という書籍が発売されました。佐藤利明さんのご著書ですが、作品の内容が丁寧に紹介されておりました。振り返るにあたりとても助かりました。
次回は出演したドラマについてお話しします。